猫背と腰痛 ~体は繋がっている~

投稿日時:2018/05/09(水) 16:38

 
背中が丸い、肩が内に入っているなど、猫背が気になっている方々は非常に多いと思いますが、肩の内巻きそのものが腰痛の原因になるのにはいくつかの理由が重なってきます。

例えば、胸元の筋肉が硬いことによって股関節も連動して動かなくなってしまう可能性は十分にあり得るのです。

今回は、胸元の硬さなどの単体のみではなく、そこから引き起こされる可能性のある腰痛の原因と対処法についてお伝えしていきます。

 
 
 

目次


・股関節とは

・股関節の動き
・股関節の動きに関与する筋肉
・胸元の構造と動き
・胸元の筋肉の硬さと腹筋群

・腹筋群と歩行時の股関節の動きと腰痛
・腰痛改善エクササイズ
・まとめ
 
 

股関節とは

 

股関節とは、骨盤と言われる姿勢の土台になっている骨と、大腿骨と言われる脚の骨の2つから組み合わされる関節のことを指します。


まずはこの骨盤の構造からお伝えしていきましょう。


骨盤は仙骨と言われる三角形の骨と、その周りを覆っている寛骨という骨から構成されています。
 
 


 
さらに寛骨は、腸骨、坐骨、恥骨の3つに分類されます。


特に抑えていて頂きたい部分は、上前腸骨棘(じょうぜんちょうこつきょく:以下、ASIS)と下前腸骨棘(かぜんちょうこつきょく:以下、PSIS)の2つです。


これら2つが骨盤の動きを見ていくのに一般的には重要となります。


ASIS
が骨盤の前側、PSISは骨盤の後ろ側と覚えて頂ければと思います。


ASIS
PSISを結んだラインには角度が存在し、一般的には1015°が適正と言われています。


例えば、ASISPSISよりも15°以上に傾いている状態を骨盤の前傾(ぜんけい)と言います。





こうすると、腰が反ったような姿勢になりやすいです。


反対に、元々下がっているASISPSISと同じ高さ程度になる、もしくは、10度以下になる状態を骨盤の後傾(こうけい)と言い、この状態では腰は通常よりも反っていない状態となります。






まずはこの2つの動きを押さえておきましょう。
 

股関節を構成しているもう一つの骨、大腿骨(だいたいこつ)についてご説明します。


この骨は、人体の中で最も大きく、そして最も強い骨と言われています。



 
人間は二足歩行をしますので、大腿骨やその他、脛の骨などを使って立っています。


地球で暮らしていく上で、必ずと言っても良いほどに、人間の体には重力が上からかかります。
それを受け止めるためにより骨盤に近い部分は少し曲がったような形になっているのではないでしょうか?


 

また、走ったり歩く際の衝撃を吸収するために、人間の大腿骨は少しシナるそうです。


骨というと非常に硬いイメージがありますが、人間の体は上手に作られているのですね!
  
 

股関節の動き

 

さて、股関節の構造についてお話しましたが、実際に股関節はどのような時に動いているのでしょうか?


実は、歩く、走る、蹴る、登る、降りるなど、私たち人間が生活していく上でほとんどの動きに股関節が関与しています。



一つずつ分解してみていきましょう。


まずは、体を横から見た時の股関節の動きです。


直立時、大腿骨は地面に垂直な状態となっているのが正しい位置になります。


脚を上に持ち上げるように脚を持ち上げていき、いわゆる「もも上げ」の動作を行いましょう。



 

これを股関節の「屈曲」と言います。


反対に後ろへ引くような動きを「伸展」と言い、屈曲よりもはるかに行きづらいです。

 



次は、正面から見た時の動きについて見ていきましょう。


膝も曲げた状態で行いますが、膝が足首よりも内側に行く動きを「内旋」と言います。
 




この状態で座っている女性も多いですよね。


反対に、膝が足首よりも外側に行く、いわゆるガニ股の状態を「外旋」と言います。





内もも同士をくっつけるように働く動きを股間節の内転(ないてん)と言います。





内ももを引き締めたい方には、是非ともこの筋肉を鍛えて頂きたいですね!


反対に、内ももが離れていく動きを外転(がいてん)と言います。




 
股関節は、上記のような動きをスムーズに行うためによく動かなければなりません。


そして、このように関節が痛みや傷害が起きない程度に動かすことのできる範囲を可動域と言います。


股関節が硬い=可動域が狭くて動かない、となります。


すると、代わりに腰などの本来あまり動いてはならない場所が過剰に動いてしまい、痛みが出るリスクが高まります。


 

股関節の動きに関与する筋肉

 
 
上記のような股関節の動きも、骨単体で行うことはできません。


筋肉を使って人間は骨を動かしています。


では、股関節の動きに関与する主要な筋肉をいくつかご紹介致します。


特に「屈曲」と「伸展」に伴って、内旋・外旋や内転・外転といった動きを行う筋肉が多いので、今回は屈曲・伸展を主にお伝えしていきます。


まずは「屈曲」に関係してくる筋肉です。


もも上げの動作を行うときに必要になる筋肉が挙げられますが、1つ目は大腿四頭筋。




 
この筋肉は、股関節を屈曲するだけでなく、膝をまっすぐに伸ばす作用があります。


また、同時に骨盤の前傾を生み出す筋肉でもあります。


ボディビルダーの方などはムキムキですね!


次にご紹介するのは、腸腰筋です。




 
この筋肉も大腿四頭筋と同じように、股関節を屈曲させますが、同時に外旋させる(開く)働きもあります。


次にご紹介するのは、大腿筋膜張筋。




 
聞き慣れなく、なが~い名前に筋肉ですね。


この筋肉も股関節を屈曲させますが、同時に脚を内側へ回旋させる内旋の動きも行います。


腸腰筋とは反対の作用があるのですね。


そして、最後に内転筋群と言われる内ももの筋肉。




 
内もものもも筋肉にもいろいろな種類がありますので、すべてをご紹介することはできませんが、これらは主に外に開いた内ももを反対に引き寄せる内転の動きを行います。


次は、「伸展」に関する筋肉をお伝えしていきます。


伸展は、主に後ろへ足を蹴りあげるときの動作になります。


この動作を主に行う筋肉は股関節の後ろ側にくっついています。


代表的な筋肉が「大殿筋」です。

 




いわゆるお尻の筋肉のことで、腰痛とも非常に大きな関係性を持っています。


スクワットなどの大きな動作の時に主に使ってほしい筋肉で、ヒップアップにも非常に効果的です!




 
次にご紹介するのは、ハムストリングスという筋肉です。



 

スポーツをされていた方でしたら、一度はお聞きになったことがあるのではないでしょうか?


「ハム」と呼ばれているのですが、これは3つの筋肉の総称になります。


大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋という3つの筋肉から構成され、それぞれ膝を曲げる働きを持っています。


膝を曲げながらも、大腿二頭筋は大腿骨を外側に回旋(外旋)させます。



 

半腱様筋と半膜様筋は大腿骨を内側に回旋(内旋)の動きを行います。




 
ハムストリングスが硬い方は、後ろで骨盤を引っ張ってしまうので、前屈などの動作が苦手かもしれないですね。


さて、「屈曲・伸展」という二つの動きと、それに組み合わせて行われる「内転・外転」「内旋・外旋」の動きを行う筋肉のご紹介でした。

 

胸元の構造と動き


 
続いて、胸元の筋肉や骨がどのような構造をしているのか、その部分についてお話していきます。


胸元には大きく分類して3つの骨から形成されており、胸骨、胸椎(きょうつい)、肋骨から成り立っています。


まずは胸骨についてです。





胸骨とは、胸元にある中心の骨になります。 

 
この胸骨はさらに3つに分類することができ、上から胸骨柄(きょうこつへい)、胸骨体(きょうこつたい)、剣状突起(けんじょうとっき)の3つから構成されています。


この中心にある胸骨から肋骨(正確には「肋軟骨(ろくなんこつ)」)が背中にかけてくっついています。


よく心臓マッサージなどをする際には、この部分を下に強く圧迫します。


この「剣状突起」の下には肺があり、剣状突起を強く圧迫して心臓マッサージをしてしまうと、剣状突起が折れて肺に突き刺さる可能性があるので注意です。


次に胸椎(きょうつい)の構造につきまして、ご説明していきます。




胸骨に対して、背面にある背骨の部分を胸椎と言います。
 

胸椎は背骨(脊柱:"せきちゅう"とも言います)の一部分であり、より丸まりの強くなっている部分です。


通常この部分が過剰に丸まることによって「猫背」になってしまう方が多いのですが、胸椎の部位によっても変わってきます。


例えば、首の付け根に近い部分が過剰に丸まっているだけで、そこから下の部分に関してはそこまで丸まっておらず、むしろまっすぐになっている方も多いのです。


通常丸まってほしい部分が丸まれずにいると、そのほかの部分が頑張って丸め、姿勢を維持しなくてはいけなくなります。


すると、腰の部分が過剰に反らなければならなくなったりするのです。



そして、その胸椎と胸骨に付着していて、鳥かごのように周りを覆っている肋骨があります。





 
この肋骨のおかげで呼吸がスムーズにできたり(正確には肋骨に付着している筋肉のおかげで)、中にある内臓を守ったりできるのです。
 

これらの骨に付着している筋肉によって胸元は動いていますので、様々な筋肉のご紹介をしていきます。

 
今回は主要な筋肉についてお話していきたいと思います。


まず代表的なのが「大胸筋」です。




 
「一度はあんな胸筋になりたい・・・」と思われる男性もいらっしゃったのではないでしょうか?


通常、腕立て伏せなどでメインに鍛えることができる部位がこの筋肉です。


この筋肉は、腕の骨から肋骨、そして胸骨にかけてくっついており、強く働くと腕を体の前方に移動させたり、胸椎を過剰に丸めて背中を丸めてしまいます。


非常に重要な筋肉ですが、この筋肉が過剰に働きすぎると、背中の丸まった「猫背」になり兼ねないのです。


その胸元からさらに奥に「小胸筋」という筋肉が存在します。




 
なかなかお聞きにならない方も多いと思うのですが、この筋肉が硬くなることで、肩の位置を内側に入れてしまったり、首の付け根を過剰に丸めることで猫背を作ってしまうのです。
 

胸元の筋肉の硬さと腹筋

 
 
胸元の筋肉の硬さが原因で腰痛を引き起こしてしまう、という事をお伝えしていく前に「正しい呼吸の仕方」について先にお伝えしていきます。


呼吸には種類があり、順番もあるのですが、どの呼吸をメインに行っているかによって姿勢が変化してしまったり、腰痛の可能性まで出てきてしまうのです。


お腹
下の肋骨が横に膨らむ
それより上の前方についている肋骨(胸元)が膨らむ
さらに上の鎖骨付近が膨らむ


上記4つの順番で膨らんでいくのが正しい呼吸の順番と言われています。


例えば、息を吸ったときにお腹が凹み、主として胸元を膨らませるような胸式呼吸がメインとなってしまっている場合、腰や胸の背骨は全体的に反ったような状態になりやすく、お腹の筋肉をうまく使うことができなくなります。


また、お腹の部分は腰、お腹の横も含め、本来は360度きれいに膨らんでいきます。


ペットボトルを想像してみましょう。中身の入っていないペットボトルがあります。このペットボトルがペコっと凹んでしまったまま蓋をされていると、簡単に捻ることができてしまいます。


これとは反対に、360度きれいに円形を保ったまま蓋をされたペットボトルは、そう簡単に捻ることはできません。


お腹もこれと同じ原理で、お腹が凹んだままの状態で体を捻るなどの動きを行うと、本来あまり回ってはいけない腰の骨が過剰に回ることによって過剰なストレスを受けます。


反対にしっかりとお腹、お腹の横、背中まで360度に膨らんだお腹の部分は腰の骨を安定させ、捻れ等の動きに対してのストレスを緩和してくれるのです。


よって、お腹が凹み、胸を引き上げてお腹の筋肉をうまく使えなくなるような呼吸ではなく、お腹、胸の順番でお腹周りが360度に膨らむような呼吸が重要となるのです。


上記の正しい呼吸の順番でうまく呼吸するために重要となってくることがあります。まず、下にある肋骨が前方に飛び出さないように気を付けなければなりません。


 
 
 
上記のように、肋骨が前方に飛び出すように息を吸ってしまうと、常に息を吸った状態が続いてしまい、背中など体の背面に空気が入りにくくなってしまいます。


お腹周りを安定させ、腰への過剰なストレスから回避できるようにするため、肋骨が前方に飛び出すように息を吸わないようにします。


基本的に肋骨の下側の部分は、横に広がるのが正しい動きとなりますので、前方に飛び出さないよう静かに息を吸うように気を付けましょう。




 
また、肋骨が飛び出しているときには、基本的に人間の背骨は反った状態になっています。
 

背中が反っている場合、前側についている腹筋群は弱くなってしまっている可能性が高いのです。

 
実は、この腹筋の弱さが股関節の動きにも影響してきます。

 
基本的に腹筋は、腹筋群を使ってお腹周りを安定させ、両手足を自由に動かすという働きの方が強いのです。
 

腹筋を鍛えるというと聞くと、丸めたりするイメージが強いと思われますが、実は真の働きはそのような動きではないのですね。

 
よって、胸元が硬い=腰の反りが強くなる=腹筋が弱くなる=股関節の動きが悪くなる=腰痛への発展と繋がります。
 
 

腹筋群と歩行時の股関節の動きと腰痛

 

歩くときには片足が前方へ行き、反対足は軸足としての役割を果たすようになります。


これを動作として考えると、前方へ踏み出す方の脚は、股関節の「屈曲」を行い、軸足は「伸展」の動きを行っていることになります。
 




例えば、軸足側の股関節を屈曲(折り曲げる)させる大腿四頭筋が非常に硬い場合には、軸足側の股関節の「伸展(脚を後ろへ蹴り出す動き)」が制限されます。



同時に、伸展の動きができないという事は、伸展を行う「大殿筋」等のお尻の筋肉をうまく使えていないことになります。





ただ、人間は足を後ろへ蹴り出さなければ前方へと進めませんので、代わりに腰を頑張って反らすことによって、脚を蹴り出すという動きを行うようになります。


つまり、歩くたびにたくさん腰を反らす動きを行うことになり、その分だけ腰へのストレスは蓄積していきます。


これがランニングとなるとさらに大変なことになります。


文献によって違ってきますが、ランニング時にかかる着地での衝撃は、45倍になると言われています。


体重60㎏の人がランニングをした場合にかかる足への衝撃は240300㎏という事になります。


もちろん、衝撃を一番最初に受けるのは足(足部)なわけですが、地面からの反発をもらって動くことができるので、当然、腰への影響も多大なるものとなるわけです。


よって、上述のように脚を後ろへ蹴り出す伸展の動きができないままでランニングをすると、腰への負担も相当なものとなり、腰痛発生の原因となってしまうのです。


また、前述のように、腹筋群が働かないことによって、股関節の動きが悪くなってしまう可能性は十分にあり得ます。
 

ですので、単に股関節の動きが良くなれば良いわけではなく、股関節の動きを付けながらも、腹筋を強化してより安定した姿勢で股関節を動かせるようになることが、腰痛改善への道のりとなります。
 
 

腰痛改善エクササイズ

 

それでは、股関節の動きの改善、腹筋の強化を行い、腰痛を改善するためのエクササイズをご紹介いたします。
 

1.プレッツェル
【目的】
太もも前の筋肉の柔軟性を付ける
【やり方】
横向きになります(枕を入れましょう)
上側の足を前方に、膝が90度になるようにおき、下側の手で膝裏を押さえます
③下側の足の膝を曲げ、上側の手で足の甲を掴みます
④呼吸しながら上の胸を開きます
⑤60秒キープします

 
 
 
 

2.デッドバグ
【目的】
腹筋群を強化して股関節や、胸元を動かしやすくする
【動画】
http://www.youtube.com/watch?v=qj4mw5XW7NI
【やり方】
仰向けに寝ます。
両手を天井に向かって伸ばし、体に対して90度になるようにします。
足も手と同様に天井に伸ばして90度になるようにしましょう。
 このときに、膝、股関節の両方が90度になるようにします。
腰の隙間を埋めたままで息を吐きながら右手、左足を伸ばしていきます。
伸ばしたその場で息を吸い、再び息を吐きながら最初のポジションに戻します。
反対側も同様に行いましょう。

 

まとめ


 
上述のように、股関節の硬さのみではなく、胸元の硬さが股関節の硬さにも影響し、それが腰痛へと発展する可能性は十分にあり得ます。

日頃から股関節だけ、胸元だけというようなストレッチではなく、全体的に体を動かしておくことが、腰痛改善への秘訣です!

明日からでも是非実践してみてくださいね!


 
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