猫背に関わる症状と改善方法

猫背姿勢と腕の痺れ~胸郭出口症候群と頚椎症性神経根症~

こんにちは。

猫背改善専門スタジオ「きゃっとばっく」の中北です。

本日は「猫背姿勢と腕の痺れ」についてお話いたします。

今回は、腕の痺れの中でも猫背姿勢と関わりのある「胸郭出口症候群」と「頚椎症性神経根症」についてお話いたします。

なお、腕の痺れの原因は腕の神経の障害だけではなく、脳の障害や脊髄の障害なども考えられます。実際に痺れが生じた際は自己判断せずに必ず医療機関を受診してください。

胸郭出口症候群とは

胸郭出口症候群とは、上肢や肩甲骨周囲の運動や感覚を支配している”腕神経叢”という神経の束が、通り道の途中で筋肉や骨に圧迫されることで生じる、神経障害や血流障害のことで、以下のような症状があります。

・上肢の痺れ

・上肢や肩甲骨周囲の痛み

・上肢の筋力低下

・手指の巧緻性低下

などの症状が現れます。

これらの症状は、神経や血管が通り道の途中で絞扼されるために生じます。そして、通り道には複数の絞扼されやすいポイントがあります。

神経・血管を絞扼しやすい部位

①のトンネルでは首の筋肉によって絞扼されます。長時間のデスクワークや呼吸パターンの乱れなどによって、首の筋肉の緊張が高まっていると絞扼されやすくなります。

②のトンネルでは肋骨と鎖骨によって絞扼されます。上背部の筋力が低下するなどして、なで肩になると絞扼されやすくなります。

③のトンネルでは胸の筋肉によって絞扼されます。猫背姿勢などによって、胸の前側の筋肉の緊張が高まっていると絞扼されやすくなります。

なお、筋肉の発達の度合いや骨の形状には個体差があり、それらが胸郭出口症候群の一因となることもあります。

 

頚椎症性神経根症とは

頚椎症性神経根症とは、頚椎(首の部分の背骨)から出ている神経が圧迫されたり刺激されたりすることで、首・肩甲骨周囲・上肢に痛みや痺れ、筋力低下や感覚障害が生じる疾患のことです。

原因としては、加齢に伴う椎間板の変性や頚椎の変形が生じることで、神経の通り道が狭くなって生じます。

加齢に伴う椎間板の変性や頚椎の変形に関しては、60歳以上の75%の方に認められたという報告もありますので、頚椎が変形することはごく自然なことであると考えられます。

変形があるからといって必ず症状が出るわけではありませんが、変形することが当たり前であるならば、日頃から負担をかけ過ぎない方が良さそうですね。

頚椎に負担をかける要因を考えていくと、スポーツや職業などのライフスタイルの影響も大きいですが、姿勢もその一つです。

例えば猫背姿勢になることで、胸椎の動きが悪くなって頚椎への負担が増加します。

なぜなら、首を動かすときは頚椎だけではなく胸椎も一緒に動くからです。胸椎の動きが悪くなると、頚椎がその分を頑張らなくてはならなくなる為、結果として頚椎への負担が増加します。

一度や二度であれば大したことはありませんが、それが何年も何十年も繰り返されていくことで変形へとつながっていきます。

雨垂れ石をも穿つ、というやつですね。

猫背姿勢との関係

 細かい改善のためのアプローチは、胸郭出口症候群であれば、①、②、③の絞扼部位によって異なりますし、「頚椎症性神経根症」に関しても、色々な原因が考えられますが、共通していることとして、”姿勢”が悪くなることで、リスクが高まることが考えられます。

それでは、本来の姿勢かどうかの簡単セルフチェック法をご紹介いたします。

姿勢チェック方法

・カカト、お尻、肩甲骨の辺りの背中、後頭部を壁に着けて立ちます。

・壁と腰の隙間の目安:手1つ分

・壁と肩の隙間の目安:指2本分

・壁と首の隙間の目安:手2つ分

※腰が反り過ぎている状態

いかがでしたか?ご自分だと分かりにくいという方は、どなたかにチェックしてもらってください。

続いては、姿勢及び症状を改善する為に効果的だと考えられるエクササイズをご紹介いたします。

胸周りの柔軟性を高めるソラシックツイスト

 デスクワークなど上背部が丸まる姿勢などが長く続くと、胸椎の上の方(頚椎に近い方)が過剰に丸まりやすくなります。その状態で首を動かすと、胸椎の動きが低下して頚椎への負担が増加しますので、しっかりとリセットしていきましょう♪

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~エクササイズのやり方~

①横向きに寝て、両股関節が90度になるように深く曲げます。

②上側の腕を後ろに伸ばし、胸を開きます。目線は指先を追いかけましょう。また、できるだけ骨盤が動かないように行ってください。

③ゆっくりと元の姿勢に戻り、6回~10回繰り返しましょう。

④反対側も同様に行ってください。

☆エクササイズのポイント☆

※胸を開きながら息を吐き、戻るときに息を吸いましょう。

※骨盤を動かさないように行うと肩などが痛むようでしたら、少し骨盤を動かしながらでも結構です。

※指先を目線で追うと首などが痛むようでしたら、頭は動かさずに行って頂いても結構です。

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ローオブリーク・サイドリーチ

次にご紹介するエクササイズは『ローオブリーク・サイドリーチ』です。

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~エクササイズのやり方~

①横向きに寝て、片肘を地面に着きます。

②両膝の角度を90度にして、下側の脚は股関節も90度にします。

③上側の手を天井に伸ばし、下側の肩の力が抜けないようにします。

④背骨を丸めながら、斜め方向へ手を伸ばし小指を床に着けます。

⑤背中の筋肉が伸びるのを感じたら、そのまま呼吸をして肋骨を広げましょう。

⑥呼吸を3回繰り返したら元の姿勢に戻りましょう。

⑦左右3セットずつ行ってください。

☆エクササイズ実施のポイント☆

※肩がすくまないようにしましょう。

※頭が下がり過ぎないようにしましょう。

※痛みがある場合は無理に行わないでください。

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 本日は「猫背姿勢と腕の痺れ」ということで、胸郭出口症候群との関係についてお話いたしました。

猫背姿勢が矯正されることで、首の筋肉や胸の筋肉の緊張を弛めることが出来ますし、適切な鎖骨と肋骨の隙間も維持することができます。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

猫背改善専門スタジオ「きゃっとばっく」

中北貴之

ABOUT ME
中北貴之
理学療法士/imok Technical Director/大手フィットネスクラブにて活動後、痛みを抱えているお客様をサポート出来る様になりたいと、理学療法士の学校へ進学。卒業後は理学療法士として整形外科クリニックへ勤務。理学療法士として活動をしながら、トレーニングやコンディショニングの学びを続け、2018年4月よりimok株式会社へ参画。治療からコンディショニング、パフォーマンスアップまでを行えるコンディショニングコーチとして幅広く活動中。