猫背に関わる症状と改善方法

股関節の”つまり”の正体

こんにちは。

理学療法士の中北です。

本日は「股関節の”つまり”」についてお話いたします。

お尻の筋肉を伸ばすようなストレッチをしていると股関節の前側がつまる感じがする、という方は姿勢が関係しているかもしれません。

なお、しゃがんだり、椅子から立ち上がったりなどの日常生活動作でも、股関節のつまり感や痛みがあるという方は、FAIと呼ばれる様な骨にデッパリが出来る事で、詰まりを起こしている可能性が考えられますので、一度医療機関を受診して頂いた方が良いかと思います。

ここでは、「股関節に関連する疾患や構造的な変形を伴わない」状態における股関節のつまりについてお話いたします。

股関節とは

股関節は骨盤と大腿骨で構成されており、骨盤という受け皿に大腿骨というボールがはまり込むような構造をしています。

前方から見た股関節

TVや雑誌などのメディアで「股関節は大切です!」といった内容を、見たり聞いたりしたことが一度はあるのではないでしょうか?

まさしく、股関節は様々な場面で大切な役割を担う関節です。

例えば「ベッドから起き上がる→立ち上がる→歩く→便座に座る」といった、朝起きてからトイレに行くという一連の行動においては、痛みなどで股関節が上手く機能していないと非常に不便になります。

なぜなら、股関節は上半身と下半身を”つなぐ”関節だからです。下半身の力を上半身に上手く伝達するために、股関節は重要なつなぎ役となります。

”つまり”の正体とは

このように、身体の中でもとても大切な役割を担っている股関節ですが、なぜつまり感が生じるのでしょうか?

股関節のつまり感が無く動けている状態というのは、”骨盤という受け皿”の中で”大腿骨というボール”が良い位置を保ちながら動けているという状態を指します。

股関節は肩関節と並んで、身体の中でも動きの大きい関節です。肩を回すと大きく動きますよね。股関節は肩関節ほどではありませんが、色々な方向に良く動きます。股関節が色々な方向に安定して動くために、周囲には軟部組織と呼ばれる筋肉・靱帯・関節唇などが多く存在しています。

関節唇とは

関節唇は骨盤側の受け皿の周りにある軟部組織で、受け皿の溝を深くすることで股関節の安定性を高める他、効率良く軟骨に栄養が行き渡るようにする役割があります。

また、侵害受容器という外部からの刺激を感じるセンサーが存在しており、股関節が”今どのような状態なのか”を脳や脊髄に伝達する役割もあります。

股関節を動かす際に骨盤という受け皿の中で大腿骨が良い位置を保ちながら動けないと、股関節周囲の軟部組織である関節唇などが侵害刺激を受けて”つまり感”や時には”痛み”として脳に信号を送ります。

そのため、構造的な変形が無いのに股関節のつまりを感じる場合、股関節を動かす時に骨盤という受け皿の中で大腿骨が良い位置を保持できていない可能性が考えられます。

原因としては、大腿骨頭の後方に存在するお尻の筋肉が硬くなったり、大腿骨頭の前方に存在する靱帯が弛んでしまうことが考えられます。下図は股関節を屈曲(曲げる動き)した時に股関節の前側がつまっている状態を表しています。

姿勢との関係

お尻の筋肉が硬くなったり、股関節の前側の靱帯が弛んだりすることで股関節が良い位置を保持できなくなる原因の一つが猫背姿勢です。

猫背姿勢になっている多くの方は、足よりも骨盤が前に出た状態になり、その上の背骨の配列が崩れて猫背姿勢になっています。そうすると、骨盤を支えるために股関節の前側の靱帯が伸長された状態になり、その状態が長く続きことで徐々に靱帯が弛んでいきます。

もともと靱帯は非常に強固な造りをしていますが、長期間に渡って伸長ストレスが加わると、さすがの靱帯も耐え切れなくなっていきます。

猫背姿勢を改善して「足→骨盤→肩→頭」という積み木が真っすぐに整った状態にすることは、股関節をスムーズに動かすうえでも大変重要なことです。

猫背姿勢を改善して、下半身と上半身をつなぐ重要な関節である股関節の健康を維持していきましょう!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

猫背改善専門スタジオ「きゃっとばっく」

中北貴之

ABOUT ME
中北貴之
理学療法士/imok Technical Director/大手フィットネスクラブにて活動後、痛みを抱えているお客様をサポート出来る様になりたいと、理学療法士の学校へ進学。卒業後は理学療法士として整形外科クリニックへ勤務。理学療法士として活動をしながら、トレーニングやコンディショニングの学びを続け、2018年4月よりimok株式会社へ参画。治療からコンディショニング、パフォーマンスアップまでを行えるコンディショニングコーチとして幅広く活動中。