猫背に関わる症状と改善方法

猫背が胃の不調を引き起こす理由とは?

こんにちわ。

理学療法士の中北貴之です。

食欲の秋ということで、ついつい食事やアルコールがすすんでしまう方も多いのではないでしょうか?

そして、しっかり食べた後だったり、翌日に何だか胃の調子が良くないと感じる方も多い事と思います。

健康診断では問題が無かったり、病気な訳でもないけれど、調子が良くない。

そんな時は、もしかしたら胃液が上手く分泌をされていないかもしれません!

今日は消化において、とっても大切な役割をする「胃」と「猫背」の関係について考えていきましょう。

胃の役割とは?

私達は、口から食物を摂り入れ、食道を通って、胃に送られます。

胃は、空腹の時は萎んでいますが、食べ物や飲み物が入ると大きく膨らみ、1.5~2.5ℓくらいまで貯蔵をすることが出来る、伸縮性に富んだ臓器です。

胃の機能を考えていくと、大きく以下の3つ

胃の機能

食べ物の貯蔵、殺菌、消化

貯蔵や消化は分かるけれど、あまり殺菌というイメージは無いかもしれません。

しかし、胃における重要な役割になりますので、1つずつ見ていきましょう。

食べ物の貯蔵とは

食道を通って食べ物や飲み物が胃に入ると、水分はスグに十二指腸に送られますが、食べ物は約3~6時間、胃の中に滞在しています。

順番としては、糖質食が最初に送られ、次にタンパク質食、最後に脂肪食といった形になります。

よく脂っこいものを食べると胃もたれするなんて言いますが、脂を多く含んだ食事は、胃の滞在時間も長いんですね!

胃酸による殺菌作用とは

私達は、口の中で食べものをすり潰してから、胃に送る訳ですが、口の中というのは、約300~400種類の細菌がいると言われており雑菌だらけです。

食べ物自体はもちろん、口腔内の雑菌が胃の中に入ってきた時に、そのままでは身体にとって危険な為、じつは胃液によって殺菌されているんですね。

胃酸という言葉を聞いたことがあるかと思いますが、胃酸というのはPh1.0~1.5の強い酸性です。この胃酸を含む胃液によって殺菌を行っています。

ちなみに理科の実験などで使用をしたことがあり、色々なものが溶けてしまうイメージを持っている「硫酸」のPhが2.0ですので、どれくらい強力かがイメージ出来るのではないでしょうか?

そして、高齢者の方に多い「誤嚥性肺炎」などは、食べ物や唾液が誤って肺に入ってしまうことで起こる肺炎のことを言います。

胃に入れば、胃液によって殺菌をされますが、肺には殺菌作用が無い為、肺の中で細菌が増殖をして、炎症を起こしてしまいます。

タンパク質の吸収に大切な胃の消化機能とは?

そして、胃に食べ物が入り、その食べ物の重みで胃壁が伸ばされることがスイッチとなり、胃の蠕動運動が起こります。

この蠕動運動によって、食べ物と胃液が攪拌されていく訳ですが、胃液の強い酸性によって食べ物を殺菌し、溶かすだけではなく、胃液はタンパク質の分解酵素である「ペプシン」や脂肪の分解酵素「リパーゼ」などの消化酵素が含まれています。

その為、胃液がしっかりと分泌をされていないと、適切にタンパク質を分解することが出来ない為、健康を考えてお肉やお魚などのタンパク質を摂ったとしても、上手く吸収をすることが出来ないんですね!

猫背による胃の機能低下とは

胃液を適切に分泌をする為にはどうしたら良いか?と考えていくと、要因はいくつかあげられますが、先ず交感神経と副交感神経、自律神経のバランスを整えることが重要です。

人は闘うか逃げるかモードの交感神経が優位な状態では、唾液や胃液などの分泌量が減少し、リラックスモードの副交感神経が優位な状態だと、唾液や胃液などの消化液の分泌量が増加をします。

現代人の猫背というのは、肋骨が前に突き出た状態となり、そうすると背中の部分で交感神経を圧迫してしまい、常に交感神経が優位な状態になりがちです。

また、呼吸の観点から考えても、息を吸うと肋骨は前や横などに拡がり、息を吐くと肋骨は閉じていきます。そして、息を吸うと交感神経が優位になり、息を吐くと副交感神経が優位になります。

肋骨が前に突き出た状態というのは、息を吸った状態で肋骨が固まっている様なものですので、猫背の状態というのは、呼吸の観点からも交感神経が優位な状態になりやすいという特徴があります。

その為、猫背の人というのは、交感神経が過剰に働きやすい状態から抜け出せず、胃液の分泌が適切に起こらなくなることで、消化不良などの胃の機能低下を引き起こしやすいことが考えられますので、胃の機能を高める為にも猫背の改善は重要ですね!

 

 

 

ABOUT ME
中北貴之
理学療法士/imok Technical Director/大手フィットネスクラブにて活動後、痛みを抱えているお客様をサポート出来る様になりたいと、理学療法士の学校へ進学。卒業後は理学療法士として整形外科クリニックへ勤務。理学療法士として活動をしながら、トレーニングやコンディショニングの学びを続け、2018年4月よりimok株式会社へ参画。治療からコンディショニング、パフォーマンスアップまでを行えるコンディショニングコーチとして幅広く活動中。