身体の仕組み

カラダの雑学3|急性痛と慢性痛の違いを知ろう

こんにちは。
猫背改善専門スタジオ「きゃっとばっく」です。

知らなくても人生困らないけど、知っているとちょっとお得なカラダの雑学シリーズ第3弾は、『急性痛と慢性痛の違い』についてです。

急性痛と慢性痛は、同じ痛みでも全然原因が違うので、ぜひ最後までご覧ください♪

痛みの基礎知識

痛みを表す写真

急性痛と慢性痛の違いというテーマに入る前に、そもそも痛みとは何ぞや?という部分を確認しておきましょう。

痛みとは、国際疼痛学会によると以下のように定義されています。
「組織損傷が実際に起こった時、あるいは起こりそうな時に付随する不快な感覚および情動体験、あるいはそれに似た不快な感覚および情動体験」

ん~何だか小難しい感じですが、要するにケガをして傷がある場合だけではなく、実際に傷がないのに感情によっても痛みは生じますよ、ということです。

実際に傷がある状態が「急性痛」、傷がないのに痛みを感じるのが「慢性痛」と呼ばれます。

それでは、急性痛と慢性痛のそれぞれの特徴を確認していきましょう。

急性痛とは

急性腰痛の女性

急性痛とは、生体内で生じた異常の警告サインであり、防御反応。

少し専門的な話になりますが、組織が損傷されると、ブラジキニン、サブスタンスP、プロスタグランジン、ヒスタミン、カリウムイオン、水素イオン、ATPなどなど、様々な発痛物質が損傷した組織から放出され、侵害受容器(痛みを感じるセンサー)の興奮性が高められます。

ブラジキニンやプロスタグランジンには血管透過性や血管拡張作用もあるため、血管内の血漿成分が血管外に漏出して腫脹が生じ、血管が拡張すると皮膚表面からは赤く見え(発赤)、熱の運搬が促進されるため熱をもち(発熱)、炎症の4徴候となる「発痛・腫脹・発赤・発熱」が生じます。

ぶつけたり傷ができた時に、赤くなったり腫れたりするのは、このためです。

このような炎症徴候が見られるということは、ある程度の組織損傷が生じている結果ですので、組織損傷炎症徴候は急性痛の特徴の一つといえますね。

なお、炎症は急性炎症と慢性炎症に分類され、急性炎症は数日から2週間までを指し、慢性炎症は数週間、数ヵ月、数年、時限なく炎症が継続するものを指します。

急性痛の治療としては、侵害刺激への対応のために薬物療法や寒冷療法が行われます。他にも、痛みに伴う逃避反射や屈筋反射によって筋が持続的に収縮していると、局所的に循環が悪くなって痛みも持続しやすくなるので、そのような場合には温熱療法や運動療法も有効です。

慢性痛とは

慢性痛を表す写真

慢性痛は、損傷した組織が明らかに治癒しているにも関わらず残っている痛みや、損傷がない状況で、通常なら痛みとは感じない程度の刺激でも痛みとして感じる状態のことを指します。

慢性痛は、末梢の侵害受容器や、脊髄にある侵害受容器の変化によって引き起こされます。

具体的には、感作といって、刺激閾値の低下や、感受性増大に伴って痛みを感じやすい過敏な状態になります。

例えば、通常であれば100という刺激が入らないと痛みとして感知しないはずの受容器が、50の刺激でも痛みとして感知してしまったり、本来は痛みとして感じないはずの、軽く触られただけの刺激でも痛みとして捉えてしまったりします。

これが、本当は傷がないのに痛いと感じてしまう正体というわけですね。

このような神経の感受性増大や感作に加え、神経回路の変化も慢性痛には関わります。

通常、痛み刺激を伝える役割の神経回路があるのですが、この神経回路がお隣さんの本来は痛み刺激を伝達しないはずの回路や、交感神経とつながってしまい、新たな痛み刺激を伝達する回路を構築してしまうのです。

つまりは、本来は痛み刺激を伝達しない神経回路まで、痛み刺激を伝えるようになってしまうことに。

他にも、脳の変化も慢性痛に関与していて、通常では痛みとして認識されない刺激においても、慢性痛患者においては、感覚野や前頭前野、帯状回などに異常な活動がみられるようになることが報告されています。

このように、慢性痛の原因は単に末梢組織だけの問題ではないため、治療としても痛みを訴えている末梢組織への介入や薬物療法だけではなく、認知行動療法や全身運動を取り入れることで不活動を避け、身体的・心理的な改善を促すことが有効です。

本日は身近にある痛みについて、急性痛と慢性痛の違いをお話いたしました。
それぞれの特徴に合わせた治療が必要ですね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
猫背改善専門スタジオ「きゃっとばっく」

ABOUT ME
中北貴之
理学療法士/imok Technical Director/大手フィットネスクラブにて活動後、痛みを抱えているお客様をサポート出来る様になりたいと、理学療法士の学校へ進学。卒業後は理学療法士として整形外科クリニックへ勤務。理学療法士として活動をしながら、トレーニングやコンディショニングの学びを続け、2018年4月よりimok株式会社へ参画。治療からコンディショニング、パフォーマンスアップまでを行えるコンディショニングコーチとして幅広く活動中。