身体の仕組み

ゴルフのスタンスと股関節の構造に合わせたポイント

こんにちは。

猫背改善専門スタジオ「きゃっとばっく」理学療法士の中北貴之です。

本日は、お客様からもご相談頂く事がある、ゴルフの際の股関節の使い方についてお話いたします。

股関節は生まれ持った個体差が大きい為、一般的に良いと言わている足の位置や向きが合っていない方もいらっしゃいます。

股関節の構造的に合っていないスタンスで続けていると、パフォーマンスの低下に繋がるだけではなく、股関節が上手く動かない分を、膝や腰が代わりに動かなければいけなくなり、膝の痛みや腰痛に繋がる事も多く見られますので、要注意ですね!

股関節の基本構造

先ず、股関節は何から出来ているのか?と言うと、股関節は骨盤の一部である「寛骨(かんこつ)」と「大腿骨」という、太ももの骨によって構成されています。

ちなみに「寛骨」は、「腸骨(ちょうこつ)」と「恥骨(ちこつ)」と「坐骨(ざこつ)」という3つの骨が合わさったものを言います。

ゴルフはもちろんのこと、様々なスポーツにおいて「股関節の使い方が大事!」といった内容を、聞いたりしたことがある方が多いのではないでしょうか?

まさに股関節は、日常の様々な場面はもちろん、多くのスポーツにおいて、重要な役割を担う関節です。

例えば「ベッドから起き上がる→立ち上がる→歩く→顔を洗う」といった、朝起きてから顔を洗うまでの一連の行動において、痛みなどで股関節が上手く機能していないと非常に不便になります。

股関節の前捻角と動作

そして、ここがゴルフなどの回旋スポーツにおいて、特に重要なポイントになりますが、股関節には”前捻角という構造的な特徴があります。

股関節の前捻角とは

前述の通り、股関節を構成する大腿骨を上から見ると、少しだけ前方に捻じれた状態で骨盤にくっつきます。この前方への捻じれのことを”前捻角”といいます。

一般的には、約15度程度、前に捻じれた角度がありますが、この前捻角は人によって違いがあり、前捻角が大きすぎる状態を「過度前捻(かどぜんねん)」、前捻角が少ない状態を「後捻(こうねん)」と言います

過度前捻と後捻の特徴

大腿骨の前への捻じれが強い「過度前捻」だと、大腿骨が前方に出過ぎてしまうため、バランスをとるために「内股」になりやすく、「後捻」の人は、逆に自然と「がに股」になりやすい特徴があります。

また、立っている状態でつま先が外を向く様に、「がに股」方向に動く事を股関節の「外旋(がいせん)」。つま先が内を向く様に、「内股」方向に動く事を「内旋(ないせん)」と呼びます。

「過度前捻」の人は、生まれ持って「外旋」した状態で股関節が付いている為、そこから更に「外旋」をすることは苦手です。

それに対して、「後捻」の人は、生まれ持って「内旋」した状態で股関節が付いている為、そこから更に「内旋」をすることが苦手になります。

一般的な”股関節がまっすぐな位置”というのは通常の前捻角をもとに定義されていますので、過度前捻や後捻がある方にとっては”真っすぐな位置ではない”ということになります。

例えば、通常よりも10度”後捻”の方にとっての一般的な真っすぐな位置は、10度内旋しているのと同じ状態になりますので、その角度でしゃがんだり、回旋したりすることはとても窮屈です。

そのため、10度”後捻”がある方にとっては、10度ガニ股の位置が真っすぐなポジションになります。

前捻角とゴルフのスタンス

ゴルフなどの回旋スポーツの場合は股関節がしっかりと回旋することが大切で、股関節が上手く動かないと腰や膝に負担が掛かります。適切に股関節の回旋を行うためは、股関節の構造的な特徴を踏まえたフォーム作りをすることが重要になります。

しかし、自分の生まれ持った股関節に合わせたスタンスを取っている方は、ほとんどおらず、最初は少し「がに股」だったり、「内股」だったりしたけれど、スクールなどに通う内に、パラレルスタンスに修正され、「何だか窮屈だな~」なんて思いながらも、そのスタンスで行っている方が多いのではないでしょうか?

例えば、”後捻”の方の場合は両足を平行に構える、いわゆるパラレルスタンスをとっていると、股関節のポジションとしては内股で立っているのと同様になります。

テイクバックを行おうと思っても、既に股関節を内側に捻っている状態から更に内側に捻る動きが求められる為、股関節での回旋運動が難しく、膝関節や腰椎部での代償動作が出やすくなると考えられます。

その為、”後捻”の方の場合は足をパラレルスタンスで立つよりも、つま先を少し外側に向け、生まれ持った前捻角に合わせて、ややガニ股で構えた方が回旋運動はスムーズになると考えられます。

それでは、どのようにして”前捻角”を評価すれば良いのでしょうか?

レントゲンなどのX線検査によって評価をすることが最も正確ですが、簡易的には股関節の回旋角度を評価することで推測できます。しかし、ご自身で評価をすることは困難ですので、専門家の方に評価をしてもらうことが現実的な方法かと思われます。

 

ご自分の生まれ持った股関節の構造に合わせたスタンスで、いつまでもゴルフを楽しんで頂ければ幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

猫背改善専門スタジオ「きゃっとばっく」

中北貴之

ABOUT ME
中北貴之
理学療法士/imok Technical Director/大手フィットネスクラブにて活動後、痛みを抱えているお客様をサポート出来る様になりたいと、理学療法士の学校へ進学。卒業後は理学療法士として整形外科クリニックへ勤務。理学療法士として活動をしながら、トレーニングやコンディショニングの学びを続け、2018年4月よりimok株式会社へ参画。治療からコンディショニング、パフォーマンスアップまでを行えるコンディショニングコーチとして幅広く活動中。